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グリベック®を服用されるGIST(消化管間質腫瘍)患者さんへ

監修:
湘南鎌倉総合病院 腫瘍内科
澤木 明 先生

筋肉層から発生する「消化管にできる腫瘍(GIST)」と粘膜層から発生する「胃癌」や「大腸癌」はともに悪性腫瘍ですが、発生部位が異なります。
腫瘍とは「異常な細胞が増え続けている状態のかたまり」とされ、良性と悪性にわけられます。異常な細胞が周りに広がったり、離れた場所の組織や臓器へ移ったりし、生命をおびやかすものが悪性腫瘍です。
悪性腫瘍には、体や臓器などの表面の細胞(上皮細胞)からできる「癌」と、骨や筋肉などの細胞(間質細胞)からできる「肉腫」などがあります。
消化管にできる腫瘍(GIST)は肉腫の一種です。癌は比較的早期から痛みや出血がみられますが、肉腫はかたまりが大きくなり周囲を圧迫するだけなので症状がでにくいという特徴があります。

消化管にできる腫瘍

Q2. GISTは遺伝しますか?

基本的には、遺伝しません。
GISTは、消化管の一部の細胞でc-kit遺伝子やPDGFRA遺伝子などが変異して起こります。なぜこのような遺伝子変異が起こるのかは分かっていませんが、遺伝子変異が起こる細胞は子供を作る機能をもつ生殖細胞とは関係がないため遺伝しません。
ただし、GISTになりやすい家系が非常にまれに存在します。このような家系のGIST患者さんでは、親から子へ遺伝する生殖細胞にc-kit遺伝子やPDGFRA遺伝子の変異がみつかります。このような患者さんの特徴は以下の4つで、これらに当てはまらない場合は、通常のGISTであり遺伝はしません。

① 若いとき(30歳代あたり)にGISTを発症

② 胃腸にいくつもGISTができる(通常は1つ)

③ 血のつながった親族にGISTを発症している人が何人もいる

④ 皮膚の色素沈着や嚥下困難がある

Q3. GISTの再発をみつけるために、どのような検査をしますか?

再発を発見するために、腹腔内のCT検査が定期的に実施されます。
腹腔内といっても横隔膜から股関節まで含めた広範囲な検査です。もともと腫瘍が出来たところ(原発部位)に再発していないか、腹膜にこぼれ落ちて成長した腫瘍(播種)がみられないか、別の臓器(肝臓など)への再発がみられないかどうかが分かります。
手術後の検査については、「グリベック治療中の方の検査について」に詳しく記載されていますので、そちらをご覧ください。

Q4. GIST術後に生じるダンピング症候群って何ですか?

胃の切除手術を受けた人にみられる胃切除後症候群の1つです。胃を切除したことにより、胃の機能が低下し、食べたものが胃で上手に消化されず、急激に小腸へ流入するために起きます。
食後すぐ(30分以内)に腹痛、動悸、発汗などが現れる早期ダンピング症候群と、食後2~3時間たってから動悸、冷汗、めまい、失神、脱力、手指の震えなどが現れる後期ダンピング症候群があります。
ダンピング症候群が起きないようにする予防策として、以下のような食事療法が行われます。

① 1回の食事量を減らし、1日の食事回数を増やす

② 少量ずつ、よく噛んで、ゆっくり食べる

③ 食事中の水分摂取を控える

④ 炭水化物などの糖質の摂取を控える